今、なぜ企業はこれほどまでにSDGsに取り組んでいるのでしょうか。革新的技術の開発・普及などのイノベーションによって温暖化対策や社会課題の解決と経済成長を両立させ、国際競争力を高めるための長期的な取り組みを世界が国を挙げて後押ししています。ビジネスにSDGsが取り込まれてきた背景と、SDGsを活用して組織にイノベーションを起こすためにわたしたちは何を考えるべきなのかをみていきましょう。
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1.SDGs経営が企業の経営課題となった背景を知る
2021年は気候変動防止に関する国際会議が目白押しの年となっています。米国バイデン大統領は就任後、温室効果ガス排出削減目標を掲げるパリ協定への復帰をただちに果たし、4月には自身がLeaders Climate summitを主催するなど、気候変動防止への高い意欲を見せています。
また、わが国の菅総理大臣も2020年の所信表明演説で、2050年までに日本もカーボンニュートラル(温室効果ガス/CO2排出、実質ゼロ)を目指すと宣言しました。同じくカーボンニュートラルを2050年までに達成することを目標に掲げる国は120か国以上あり、中国も遅くとも2060年までに実現すると発表しています。今、なぜ各国はこれほどまでに気候変動防止などの環境問題に取り組んでいるのでしょうか。
こうした動きの背景を、年表にまとめてみたのが次の図です。1990年代以降、世界で取り組んできた、①気候変動防止の流れ、②社会問題解決への取り組み、③金融市場などのガバナンス強化の流れ、の3つの側面から時系列で追ってみました。
気候変動防止についての世界の動き
まず、気候変動防止の流れを見てみましょう。この動きの始まりは1992年にブラジルで開催された地球サミットに遡ります。それ以前に起きた東西冷戦の終結、経済のグローバル化と経済発展によって生産活動が増大し、CO2などの温室効果ガスの排出が様々な環境破壊を引き起こしていました。そうした事態に懸念を表明した172か国が参加して「環境と開発に関する国際連合会議」が開かれました。
この会議では、広く地球環境に関する議題が取り上げられ、ガソリン中の有害物質除去について、化石燃料に代わる新しいエネルギー源について、また、大気汚染を引き起こす排ガスの問題を解消するための方策、さらには水不足の解消等についても話し合われました。この会議において、「気候変動枠組条約」や「生物多様性条約」 が締結され、「京都議定書」へと繋がっていきます。このころから私たちの生活においても「地球温暖化」や「生物多様性」といった単語を目にする機会が増えたように思います。
京都議定書からパリ協定へ
「京都議定書」は、地球サミットで締結された気候変動枠組条約に関する第3回締約国会議(京都:1997年11月)において採択された、気候変動枠組条約に関する議定書のことです。正式名称は、「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」。地球温暖化の原因となる温室効果ガス類について、1990年を基準として2012年までの第1約束期間、2020年までの第2約束期間別に各国の削減量を取り決めたものです。その高い達成目標を実現するために、単なる温室効果ガス排出量削減だけではなく、クリーン開発、排出量取引、共同実施などのメカニズムも考えだされました。
その後も毎年国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催され、精力的な議論が行われてきましたが、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとして,パリ協定が採択されました(パリ:2015年12月)。
この合意により、平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることや、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとることが参加国共通の目標として掲げられました。主要排出国を含む全ての国が削減目標を作成、提出、維持し、その目的を達成するため国内措置を遂⾏することを規定しており、削減目標を5年ごとに提出・更新するプロセスを組み込んで、目標達成に向けたチェック体制を強化しています。
このパリ協定で日本は、2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度比26%削減するという高い目標を設定しています。この目標を達成するためには、従来の取組みの延長では実現は難しく、革新的技術の開発・普及などイノベーションによる解決が不可欠と言われています。そこで政府は、温暖化対策と経済成長を両立させ、国際競争力を高めるための長期的な取り組みを「エネルギー・環境イノベーション戦略」としてとりまとめ、技術開発を後押ししています。
(詳しくは、↓内閣府「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI2050)」 を参照)https://www8.cao.go.jp/cstp/nesti/index.html
こうして、日本の優れた技術を活かし、世界全体の温室効果ガスの排出削減に貢献しながら国際競争力を強化していこうという流れが出来上がっていきます。
社会課題解決に向けた世界の動き
これまで見てきたように、1990年代初めころには気候変動等地球環境の悪化に対する危機感が表明され始めましたが、1990年代は経済のグローバル化とともに、企業が引き起こす様々な社会問題にも注目が集まりました。
例えば、ナイジェリアで起きた人権弾圧に間接的とはいえ加担した形となったシェル石油の事例や、米国のユノカルをはじめとする多国籍企業がミャンマーでの人権弾圧に間接的に関わっているとして市民社会から糾弾され、訴訟が起きたりしています。また、多国籍企業が発展途上国で労働搾取・児童労働をさせているといった問題も、マスコミで大きく取り上げられ、社会的批判を受けるようになりました。例えば児童労働で社会的批判の対象となり、ナイキが米国でボイコット運動が起きたこと等が有名です。
こうした中、当時国連の事務総長だったコフィ・アナン氏が1999年にダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、地球規模で引き起こされる様々な社会課題、「人権・労働・環境」問題の解決を財界指導者らに呼びかけたのが「グローバル・コンパクト」です。アナン氏は、国連諸機関や市民社会、そして企業との間で「共有された価値と原則のひとつのグローバルな契約」(a global compact of shared values and principles)を取り結び、この新たな枠組みを構築することによってグローバリゼーションによる弊害を取り除こうと訴えたのです。その時のアナン氏の演説の中で、「グローバリゼーションに、「人間の顔」を与える」という表現が印象的です。
そして翌年、「国連グローバル・コンパクト(以下UNGC)」が発足し、目指すべき9つの姿を「グローバル・コンパクト9原則」として掲げました。後の2004年に原則10が付け加えられ、現在の「グローバル・コンパクト10原則」が出来上がっています。
【グローバル・コンパクトの10原則】
原則 1 企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重すべきである
原則 2 企業は、自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである
原則 3 企業は、結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持すべきである
原則 4 企業は、あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持すべきである
原則 5 企業は、児童労働の実効的な廃止を支持すべきである
原則 6 企業は、雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである
原則 7 企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである
原則 8 企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである
原則 9 企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである
原則10企業は、強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである
(出典:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンHPより)https://www.ungcjn.org/gc/principles/index.html
この動きは、企業や団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮し、社会の良き一員として行動して、持続可能な成長を実現しようとする世界的な取り組みとして今も発展しており、現在世界約160カ国で17,224を超える団体(そのうち企業が約10,820)がこの原則に同意、署名しています。わが国では、2021年4月27日時点で408企業・団体が署名しています。
国連グローバル・コンパクトが発足した同じ年の2000年、これまで1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を国連が主導となって統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめたのが、「ミレニアム開発目標(以下MDGs)」です。2015年までに、世界の貧困やジェンダー、HIV/AIDSなどの疾病、そして環境問題等の8つの課題に関して、21のターゲット項目を設定し、それぞれ達成すべき目標を数値で掲げました。
この目標は2015年に一定の成果を報告書として発表し、2030年に向けて新たな開発目標として「持続可能な開発目標 」いわゆるSDGs(Sustainable Development Goals) に継承されています。
(出所:国際連合広報センター)
このように、1990年代以降、企業は社会に対して責任ある存在としての役割を果たし、積極的に社会的課題の解決に取り組まなければならない土壌ができあがってきています。
ただ、ここまではいわゆるCSR(Corporate Social Responsibility;企業の社会的責任)の領域を出なかった印象が強いのですが、2006年にアナン氏が金融界へ責任投資原則(PRI)を提唱したことが、「経営の課題」として取り扱われるようになるきっかけとなっていきます。
SDGsが生み出す市場とESG投資の拡大
それ以前から産業界ではいわゆる企業不正が後を絶たず、公正で透明な情報開示を求める金融市場において、企業のガバナンス強化が図られてきました(前述の年表中の「金融・ガバナンス」の欄参照)。そのような中、先に述べたように2006年にアナン氏が、投資家は投資基準として「ESG(Environment, Social and Governance; 環境/社会/企業統治))の観点を持つべきだと提唱し、「責任投資の原則(PRI:Principles for Responsible Investment)」を策定しました。それは6つの原則からなり、35の具体的な行動が示されています。
【責任投資の6原則】
原則1:私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます
原則2:私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます
原則3:私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます
原則4:私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います
原則5:私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します
原則6:私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します
(出所:PRIホームページより)
その直後ともいうべき2008年に世界はリーマンショックを経験し、機関投資家は短期的な経営指標のみならず、長期的な経営指標(例えばESG投資)やリスク管理にも目を向けるようになっていきます。そして、2010年には社会的責任に関する国際規格、ISO26000が制定されるなど、世界のあらゆる組織に向けて社会的責任についての共通指標が作られました。
ISO26000は同時に、人権と多様性の尊重という概念も包含しており、MDGsから発展したSDGsの動きと連動して「社会の持続的な成長」に関心が高まることとなります。(PRIに賛同した署名機関数は3038、署名アセットオーナー数521、資産運用残高合計127兆ドル(約1京2700兆円)にまで増加しています。(2020年12月現在))
そして、金融市場の分野で大きな転機となったのは、世界でも最大の資産規模を誇る日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRIに2016年に署名をし、ESG投資インデックスを採用したことです。もちろんそれまでの間も責任投資の考え方は広がりを見せていましたが、この年あたりから世界の金融市場で社会的責任投資の動きが活発に展開されるようになります。
その翌年の2017年には、国連基金や政府・民間セクターのメンバーからなる「ビジネスと持続可能な開発委員会」がダボス会議において、「SDGsは2030年までに約12兆円の市場機会となり、3億8000万人の雇用を創出する可能性がある」と発表したのを受けて(英語版レポート ”Better Business, Better World”はこちら)、2018年には世界4大コンサルティング・グループの一つ、デロイト・トーマツが「SDGsの目標毎に市場規模は70~800兆円ある」との試算レポートを出すなど、SDGsは一気にビジネスの「新たな市場機会である」として経済界にその認識を広げていきます。(デロイト・トーマツのレポートはこちら)
実際、2020年はコロナ禍に襲われたにもかかわらず、世界のESG/SDGs投資は50兆円を超え、2021年には70兆円超に大幅に伸長すると予測されています。こうしてSDGsは新たな投資を呼び込んでおり、世界中のSDGs関連ビジネスに資金を供給し始めたと言えるでしょう。
折しも世界では、ITや通信の分野で熾烈な競争を展開していたところに、SDGsの市場機会と結びついた技術開発争いが、国を挙げた未来の覇権争いにつながっていると言えそうです。
日本も国際競争に負けじと2018年には、「未来投資戦略2018」や「拡大版SDGsアクションプラン」を策定していますし、経済界でも経団連が「SDGs経営ESG投資研究会」を発足するなど、SDGs経営やESG投資は経営層の「経営課題」として大きく浮上しています。もはや「SDGsは、CSRの一つで、一時的な流行りでしょ」とは言えない状況になってきているのです。
2.事業が生み出す価値と社会との共通価値を探る
では、一体わが社は何に取り組めばよいのでしょうか。これまで見てきたSDGsやESGは、一つの方向性を指し示してくれています。SDGsはよく知られているように、17のゴール・169のターゲットからなっています。(SDGsに関して詳しくは国連開発計画等のこちらのページへ)
2006年にアナン国連事務総長がESG投資を訴え、MDGs開発目標が進んでいるころの2011年に、ハーバード大学のM.ポーター教授が、企業のこれから進む道として「社会的ニーズに対応しながら経済的価値を創造し、社会的価値をつくる」戦略、いわゆる「共通価値の創造(CSV : Created Shared Value)」を提唱しました。ポーター教授は「経済」と「社会」の価値はシェアできるはずだと述べています。
もしあなたが、新たな事業開発の責任者であれば、これまでのように売上至上主義、経済一辺倒の考え方から、われわれの事業(「経済」)が「社会」に存在価値を生み出せるものはないのかを徹底的に考え、転換を図っていかなければならないといえるでしょう。
日本のSDGsに関連した動き
わが国では2016年にSDGs推進本部が設置されて以来、さまざまな実施方針やアクションプランが策定されてきましたが、2020年12月には「SDGsアクションプラン2021」が発表されました。2021年には、次の4つの分野を重点項目としています。
I.感染症対策と次なる危機への備え
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成、東京栄養サミットの開催等
Ⅱ.よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
DX推進、ESG投資/SDGs経営推進、科学技術イノベーション(STI)の加速化等
Ⅲ.SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出
「カーボンニュートラル」への挑戦、防災・減災、国土強靱化、海洋プラごみ対策、SDGs未来都市、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、地方創生SDGs金融等
Ⅳ.一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速
ダイバーシティ、バリアフリーの推進、子供の貧困対策等
「SDGsアクションプラン2021」の詳細はこちら
会社のパーパスをもう一度確認しよう
こうした世界と日本の動きに対し、あなたの会社ではどのように対応しているでしょうか?もちろん、専門部署がしっかり対応しているとおっしゃる会社も多いことでしょう。しかし、SDGsの活動の最も大事な点は、「あなたの会社は、これからも必要とされる会社かどうか」を問いかけられていることであることを確認しましょう。もし、あなたが経営トップであれば、会社の理念やパーパスを問い直してみましょう。社会の価値観が変化している中で、競争力は失われていないでしょうか?これからも競争力を維持できるでしょうか?そして、これからも長期的に成長が期待できる事業展開をしているでしょうか?
☑ あなたの会社は、これからも必要とされる会社ですか?
☑ 競争力は失われていませんか?
☑ 長期的に成長が期待できる事業展開をしていますか?
もし、これらの質問に即座にYesと答えられないのであれば、SDGsのゴールを自分たちの会社の活動にあてはめるだけではなく、こうした経営の根本となる理念についてチームで検討する余地があるでしょう。未来に向けたわが社の存在価値は何なのか、わが社が強みとしている経営資源は何で、それを社会課題の解決に活かせる事業展開は考えられないのかをプロジェクトチームを作って考えてみるべきでしょう。なぜなら投資家や社会も、その企業がESG、すなわち「環境」「社会」「ガバナンス」に対して「これから何をしようとしているのか」「長期的に成長ができる会社か」ということに注目しているからです。
3.SDGs経営を活用してイノベーションを生み出す組織を作る
こうしたSDGsの流れは、これまでのように利益が出たら社会貢献活動を行うといった消極的な活動から、積極的にSDGsに関連した事業開発を行って、新たな市場を獲得する「機会」をとらえる活動へと転換させています。つまり、わが社の経営資源を活かし、社会的課題の解決に役立つ新たな技術、新たなビジネスモデルの開発が強く望まれているのです。
今、コロナ禍によって大変厳しい状況にある企業がある一方で、最高益を出している大企業も存在しています。それはもちろん、コロナ禍の社会に必要とされる商品やサービスで最高益を出している場合もあれば、出張や接待交際費などのコストが減ったために利益が出ている場合もあるでしょう。うちの会社は安定しているからと安閑としていれば時代の流れに取り残され、あっという間に足元をすくわれてしまうかもしれません。こうして社会の価値観に大転換が起きている今こそ、新たな事業開発に取り組み、「挑戦する組織、強い組織」を作る好機なのではないでしょうか。
この大転換時代に、新たな挑戦へ立ち向かうには、トップの役割は大変重要です。トップが環境の変化を「感知」し、組織の現状を「捉え」、新たな事業に向かって「再配置」していく、ダイナミック・ケイパビリティ戦略は、これからの競争戦略として参考になる考え方です。このダイナミック・ケイパビリティ戦略において、トップが行うべき方策についてFeLIX TIMESのブログ記事↓に記載していますのでご興味がある方は参照してみてください。https://blog.felix-partners.com/organization/dynamic_capability1/
そしてもう一つ、SDGsを活用した事業開発の特長として、一企業の技術開発にとどまらず、行政や様々な企業との連携の中で新たな技術、サービスを開発、バリューチェーン/サプライチェーンを変革していく可能性が高いということがあります。例えば、エネルギーの分野では、東京電力と中部電力の海外・火力・燃料事業を統合した株式会社JERAが2015年に発足し、上流から発電までのLNGサプライチェーン全体を取り込み、「LNG」と「再エネ」の事業領域をカバーした事業運営が始まったりしています。
SDGsは17あるゴールを今の事業に当てはめるだけでなく、今後はそれぞれの組織の強みを生かして新たな価値を創造し、社会の生態系(エコシステム)の中で社内外の組織と共通価値を見いだしていく活動に発展する可能性を秘めているのです。
4.共通価値を創造するための「経営哲学」をもつ
ここまでこのブログを読んでいただいた方は、SDGsの考え方がビジネスに広く認識されてきた背景と、これからの事業戦略に取り込んでいく必要性について理解していただいたことと思います。
ここで最後に、「あなたは、本当に社会課題を解決することが必要だと思っているか」を問いたいと思います。
世界のビジネス界がそれに向けて動いているから、投資家がそう言っているから、あるいは会社から言われているから、という理由でSDGsを捉えていないか、今一度考えてみてください。
□あなたに最も身近な社会的課題とは何でしょうか?
□日本や世界において解決すべき社会的課題のうち、あなたの会社が担える可能性があるものはありますか?
□その社会的課題をあなたの会社が解決出来たら、あなたはどう思いますか?
□あなたがその活動の責任者(担当者)だとして、その活動がこの先利益につながらないとしても続けられますか?
もしもあなたが経営トップやSDGs推進責任者であったら、当時のアナン国連事務総長が1999年に述べたように、社会の様々な課題の解決に「人間の顔」を持つことができるでしょうか?単にそこに新たな市場があり、儲かるからといった従来の考え方ではなく、科学技術の発展をどのように私たちの生活に活かしていくのかや、人間の幸福といった課題に真正面から取り組み、自分自身の考え方を深めて「経営哲学」を持つことがSDGs成功のカギとなるでしょう。
社会と企業の関係について深く考えてみたい方は、
「社会における企業の役割とは」 哲学対話 使える「10の 問い」 実践ノート
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「シリーズ#1 瀬戸内・大崎上島から未来の社会を見つめる」第1回 島でただ一つの高級旅館「清風館」社長へのインタビューから学ぶ、島の観光のあり方と生き方
詳しくは、こちらの記事を参照ください。